◆ストーリー
1995年、ユーゴスラビア紛争停戦直後の「バルカン半島のどこか」が舞台。ある村で井戸に死体が投げ込まれて生活用水が汚染され、国際活動家「国境なき水と衛生管理団」のマンブルー達が現地に派遣される。
しかし死体を引き上げている最中にロープが切れてしまい代わりのロープを探しに行くことに。1本のロープを求め、武装集団や地雷の恐怖にさらされる危険地帯へと足を踏み入れるマンブルー一行。
やがて不良にいじめられていた少年ニコラと一緒に彼が住んでいた家を訪れたマンブルゥたちはそこで驚くべき事実に直面する…
極限の地での重いテーマ(民族紛争)を扱ったストーリーなんだけど、ジャンルは一応コメディ。これは2人の俳優の演技によるところがかなり大きい。
1人は「マンブルー(ベテラン国際援助活動家)」役の「Benicio del Toro」。
結構悪役でお目にかかる作品が多くて、顔からヒール(スミマセン)オーラ全開なんだけど、ヤバイ展開になっても不安を感じさせず、むしろ安心感を与えてくれます。
◆Benicio del Toro
もう1人はこちらもベテラン国際援助活動家の「B」。演じるのはみんな大好き「The Shawshank Redemption(ショーシャンクの空に)1994年」で主人公「アンディ」を演じた「Tim Robbins」。
◆Tim Robbins
すごく適役ですねこの2人。これに生真面目な新人ソフィー、通訳のダミール…そして自分大好きです♡(←キモイ)「カティヤ(調査官)」役の「Olga Kurylenko」。「カティヤ」は「マンブルー」の元カノって設定。
爆発物が埋め込まれてるかもしれない牛の死骸の前で車止めて一晩過ごす際、「マンブルー」と痴話げんかしたり、車から離れるなって命令に従って、当てつけで皆の前でズボンを下ろして用を足したりと、ちょっと気性激しいですが、やっぱり魅力的な演技します。何演じてもね。
◆Olga Kurylenko
今日の曲は道中、いじめられている現地の子供を拾ってその子の家にサッカーボールを取りに行ったとき、子供には見せなかったけど、その子の両親が首を吊って死んでたシーンで流れます。皮肉にもここで探していた「ロープ」を見つける事に…
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Sweet dreams are made of this
Who am I to disagree
これがあったら夢が叶うのかな
同意しない私は何者?
Travel the world
and the seven seas
世界中の7つの海を旅してきたけど
Everybody looking for something
みんな何か探してる
Some of them want to use you
Some of them want
to get used by you
誰かがあなたを利用したがってる
あなたに利用されたい人もいる
Some of them want to abuse you
Some of them want to be abused…
誰かがあなたを悪用し
あなたに虐げられたがる人もいる…..
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この映画、音楽にもかなりこだわりを持っています。監督の「Fernando Leon de Aranoa」はサウンドトラックについて
「音楽で例えるならパンクロック。パンクは気骨があって時間と闘っているんだ。悲愴感に浸る時間も、同情して泣く時間もない。あるのは行動する時間だけなんだ。」
納得です。ここで使われた曲は「Eurythmics」の全米No1ヒットですが、「Marilyn Manson」版を持ってくるトコがスゴく印象的です。とても感心しました。
やっとの思いで見つけたロープで死体を引き上げてる最中、あと少しのところでストップがかかります。すでに内戦が終結(一応)していたため、すべての判断は現地の裁判所によって決められる…と言う理由からです。
やもなく次の現場に向かう一行。途中大雨が降ってきて、次の現地で何百だか何千人分のトイレが溢れてくる話をしてる車中、新人「ソフィー(Mélanie Thierry)」がポツリと言います…「A Perfect Day…」…最悪だった1日の事です。
最初、死体を見ただけで卒倒していた彼女は、最後同じ死体を見て「Fu●kin’…」なんて言います。1日で人はこんなにも成長出来るんですね。
◆Mélanie Thierry
因みにその雨で井戸が一杯になり、現地の人はたやすく死体を引き上げる事が出来ました。正に骨折り損の…ってとこか。でも終わり良ければ総て良し…これぞパーフェクト・デイなのだ。
Marilyn Manson – Sweet Dreams (Are Made Of This) [MCA:1995]