こんなに待ち焦がれてリリースされて、ガックリしたレコードはなかなか無い……
当時の日本は(一般的な)インターネッツなんてまだ無くて、パソコン通信(死語)が主流で、物流も今とは比較にならない時代。
音楽、それも得体の知れない「House Music」の情報なんて殆ど、否、全く入って来ない程金沢なんてただの地方都市だった…
そんな田舎DJsを強力にサポートしてくれたのが当時毎日の様に通った輸入レコード・CDショップのバイヤー、M氏でした。
彼のセレクトのセンスは良かった。当時のダンス・ミュージックの中心、N.Y.サウンドを主に仕入れてくれて、都会(東京)との情報格差全く感じなかったね。改めてありがとうございます。
そんなM氏の情報ツールの一つが、氏の友人が頻繁に送ってくれていた、N.Y.のWBLS、KissFMといったFMラジオ局のDJ Showが録音されたテープ(死語)でした。
Tony Humphries、
Frankie Knuckles、
Timmy Regisford、
Merlin Bob…….
彼らがプレイするまだ発売前の曲や聴いた事のないダンス・クラシック。
これは何だろう?カコイイ!
これいつ発売かな?
これ持ってない(涙)~
毎日がこんな感じでした。
今日聴いてもらう曲もその一つ。プロモの段階でTony Humphriesがヘビー・ローテーション。みんな欲しくていつ出るのか毎日が正月前の状態が半年程続いたかな(笑)?
この曲はアップ・リフティングなボーカル・ハウス。プロデュースは「Crystal Waters」や「Ultra Naté」で大成功し当時ノリに乗っていた、「The Basement Boys」。
ファルセットなイケイケの歌モノで、それだけでも良い曲なんですが、一番皆の琴線に触れていたのは、何といっても曲間で使われた、「Loleatta Holloway:1946/11/05~2011/03/21」のボーカルをサンプリングしたブレイクでした。
Loleatta Holloway – Love Sensation [Gold Mind:1980]
Hollowayのサンプリングで生まれたトラックは数知れず。使用された部分もお馴染みのフレーズでしたが使い方が良いんでしょうね。皆ここばかり注目してた様な気がします(笑)。
そしてやっとリリースされ買いに行ってみると冒頭のガックリ感に襲われました。何とこの曲、Hollowayのボーカルを無断で使用していたため訴訟になり肝心な部分が差し替えられていたのです。
なかなかリリースされなかったのはこれだったのか!(涙)。でも念のため2枚買うのがDJの性(笑)。
この事件後、M氏の友人のおかげで、オリジナルの音源が収録されているBootleg(海賊版)を入手できたのが救い。勿論2枚買いましたYo。
M氏とは今でも親交があり、一緒にDJしたり食事したりさせてもらってます。(感謝)えーと、この後聴いてもらうのは、差し替え前のオリジナルです。安心してください、替えてませんよ。←古い
ではまた~♪
Mass Order – Lift Every Voice [Columbia:1992]