ジャズ・ミュージシャン、「Olu Dara」の子供として生まれた「Nas」は、8年生(13歳)で学校を退学しドラッグのプッシャー(売人)となりますが、子供の頃から慣れ親しんだRapの道へと進み、1994年に1stアルバム、「Illmatic」でデビューします。
「Pete Rock」、「DJ Premier」、「Large Professor」等、N.Y.のトップ・プロデューサーが参加し、多くのヒップホップ雑誌から高い評価を受けたデビュー作から2年、「Nas」は、「Dr. Dre」、「Trackmasters」を新たに制作陣に加えて2ndアルバム「It Was Written」をリリースします。
この頃Hip Hop界は東西の対立が激しさを増していました。「It Was Written」は「2Pac」が「Makaveli」として出した生前最後の作品でもディスられてますが、「Sting」、「Eurythmics」等の大ネタを使用し、メジャー路線で推したこのアルバムは、全米初登場1位を記録し瞬く間に300万枚を売る上げ大成功しました。
「If I Ruled the World」は、そんな2ndアルバムの最後を飾る曲。サンプリング・ネタは以下…
Kurtis Blow – If I Ruled the World
Whodini – Friends
The Delfonics – Walk Right Up To The Sun
これに当時「The Fugees」で大ブレイク中の「Lauryn Hill」がコーラスで参加。「Nas」自身にとって初の全米R&BチャートTop20位内を記録。また、「第39回グラミー賞:1997年」の「Best Rap Solo Performance」にノミネートされ、「Nas」の成功に華を添えました。
今思うとこの頃のHip Hop界はホントに深刻な時代だったとつくづく思います。この年「2Pac」が再び襲撃に遭い他界。翌年「The Notorious B.I.G.」も銃により命を落としました。この後事件の余波で色んな事が起こりHip Hopシーン全体が衰退しました。
もうこんな事は2度と起こって欲しくないと切に願います。今回はちょっと暗くなりました。
ではまた~♪
Nas – If I Ruled the World (Imagine That) [Columbia:1996]